いかにも梅雨明けといった様子のからりとよく晴れた空の下、縁側に吊された銅製の風鈴が簾越しにチリチリと小気味良い音を立てた。


音を乗せた清涼な風で便箋の表紙がそよぐ。


縦書きの素朴な便箋につらつらと滑るのは、ガラスの万年筆だった。


万年筆はペン先から杖まで全てガラスで出来ている。


杖の部分は淡いシャンパンゴールドでねじれが施されており、杖尻からペン先に向かうに従い大きくなり、指にフィットするように工夫されている。そしてペン先は透明で筆のような形状で、8本の溝があった。


ペン先をインクボトルにまっすぐ落としてやると、毛細血管現象により黒いインクがみるみる吸い上げられゆく様子が窺える。


意を介して紙の上で心地良く滑る感覚、これは癖になる。



この万年筆で手紙を書くのが私の楽しみである。