大好きな君へ。

 ふと、私を見つめる目が気になった。


(あっ、この前も確か此処で……。えっ、私だったの?)


隼と保育園で再会したあの日。

お喋りをしていたら、じっと私を見ている目が気になった。


(私なのかな?……それとも隼? ねえ、どっちを見ているの?)

そう思いつつも、怖いと言うより親しさを感じていた私だった。


(きっと隼のファンなんだ。私と同じように熱狂的な……)

そう思ったからだ。


(気にしない、気にしない。そんなことよりアイスクリームを楽しもう)

私は開き直っていた。


本音は、隼の魅力を誰かと分かち合いたかった。
だから余計に気になっていたのかも知れない。




 スーパーに入り、まず持ち帰り用のアイスケースを開ける。
中にある氷を一つ手に取り、項にあるホットスポットに押し当てて数秒間おく。


たったこれだけで、普通に歩く時より体脂肪が落ちやすくなるんだって。


つまりダイエット効果大なので。
私は隼と再会したことで女子力をアップすることに目覚めたようだ。


項が冷えたことを確認してから、スーパー内移動中ダイエットの幕が切って落とされた。


(さあ、今度は家族のために腕を振るうか?)

でもそれは建て前。
本音は……

私は隼が美味しそうに食べてくれたことに気を良くして、次なるシミュレーションを家族の胃袋で試そうと張り切っていただけなのだ。


それでも父と妹の好物を思い浮かべる。
家に置いてきたレシピと何故か重なるような気がした。




 ホットスポットは、シャワーでも温まり効果も大なのだそうだ。


やり方は至って簡単。
シャワーのヘッドを固定して項に熱目のお湯を掛けるだけなのだ。
これだけで寒い時でも体が冷えにくいんだって。
つまりこれも体脂肪が燃えるってことなのかな?




 出来ればスーパーはアチコチ変えた方が良いんだって。
脳が活性化するらしい。
私にはまだ早いけど、ボケ予防になるって死んだママが昔良く言っていた。


でも結局、私は面倒臭くて同じスーパーになってしまっていたのだった。