車がやっとすれ違がえるほどの細道を歩いて行くと、カーブの先に急な坂道ある。


僕は又見落として、道なりに進んでしまったのだった。

でも優香が気付いてくれた。
優香は後から来た車がそのカーブを曲がったことが気になったのだ。


其処は急勾配の急カーブだった。
それは駐車場まで続いていた。


(あのゼロ半だったら完璧壊れているな。皆こんな道を良く車で上れるな)

そんなことを考えながら歩いていた。




 実はゼロ半だけではなく、バイクも調子が悪いんだ。

結夏とアチコチ行ったように、優香とも回りたくなって一人で古代蓮公園に行ってみたんだ。
古代蓮と言うのは、さきたま古墳群のある行田市で見つかった蓮の種子を育てた物だ。


あれから四十年の時を経て古代蓮は日増しに拡大していく。


さきたま古墳群の中にある沼や古代蓮公園の前にある見本沼は勿論、その裏にある大小様々な沼を埋め尽くす勢いだった。


僕はこの秩父巡礼が終了したら優香と行ってみたいと思っていたんだ。
だからその予行演習のつもりだったのだ。




 八月の暑い盛りに、炎天下に止めておいたせいだろうか?
途中で寄ったコンビニでエンストしたんだ。


仕方なくバイクを押しながらガソリンスタンドへ向かった。
行く途中で何度もセルを回してみた。
カチカチするだけでエンジン音に繋がらない。
まだまだ遠い道のりに僕はため息をついた。


何とか掛かってくれた時は、ガソリンスタンドのすぐ手前だったんだ。


あの時はホッとしたのと同時にがっかりした。
だって、其処もかなり勾配がある坂道だったから汗だくだったんだ。


ガソリンを入れたら何とか動いてくれた。
だから僕は、ガス欠も要因の一つだったのかも知れないと思ったのだった。

もっとも、ガソリンスタンド近くでエンジンがかかった訳だから、違うとは思っていたのだけど……




 僕は秩父へ優香ど訪ねる前にバイクを買った店へ行き、修理を依頼した。


『セルのカタカタって音がエンジン音に繋がらないんです。プラグではないかと思っています』


『いや、それは違うと思いますよ。詳しいことは解らないけど、バッテリーかも知れないな』
そう言われて、バッテリーを交換したのだった。
その時、念のためだと思い、オイル交換もしてもらうことにしたのだった。


実は……
エンストの原因はオイル交換を怠ったからかも知れないと考えていたからだった。