城谷沢に架かる橋を渡る。
その先にあるのは以前のゼロ半だったらエンストでもしそうな坂道。
上りきった先に八番の山門があった。
お寺の入口で僕達は入って良いものか迷っていた。
《当山は霊場につき、物見遊山の者、酒気帯びの者境内に入ることを禁ず》
そう書かれていたからだった。
「大丈夫よ。私達は巡礼者なんだから」
優香はそう言うと僕の手を取り山門を潜り抜けようとした。
「だめだよ、優香。きっとこう言うのが物見遊山ってことかも知れないよ」
僕の言葉をまともに受け取った優香は慌ててその手を離した。
山門に一礼して一歩足を踏み入れた途端に僕は固まった。
寺の象徴であるコミネモミジが境内一杯にその幹を伸ばしていたからだった。
「凄ーい!!」
優香の声が境内に響き渡った。
石の階段を降りると、コミネモミジが覆い被さるように六地蔵が立っていた。
その先に緑色をしたなで仏。
どこもかしこも、ツルツルだった。
所作を繰り返してから、本堂の前に立った。
「おん、まか、きゃろにきゃ、そわか」
このご真言だけで、十一面聖観音様が祀られていると解る。
それだけ僕は成長したのかも知れない。
その脇にある木戸の先に武甲山があった。
思わず足を伸ばそうとして驚いた。
お釈迦様の涅槃像があったからだ。
「初めて見た」
優香が呟いた。
でも優香はすぐ境内に戻って行った。
やはりコミネモミジが気になるようだ。
優香は暫く其処から動かなかった。
その両手を大きく広げて、まるでコミネモミジの精霊を取り込もうとするみたいに深呼吸した。
九番明智寺へは、国道を通る道へ行くことにした。
さっきの案内板が気になっていたからだった。
結局さっき来た道を逆戻りした。
鉄道と国道の橋架下を潜り抜け権現橋を渡る。
次の丁字路を右に折れると、其処が国道299だった。
僕達はその道を進んだ。
横瀬橋信号の次にある信号がお目当ての九番入口だった。
其処はセメント工場へと続く道だった。
「おん、はんどめい、しんだまに、じんばら、そわか」
如意輪観音のご真言だ。
お堂は八角型をしていた。
その中はこじんまりとしていた。
一つ百円のおみくじは、良く見ると《みくじ》と書かれていた。
(みくじとおみくじ、どっちが正しいのかな?)
そんなくだらないことを考えていた。
その先にあるのは以前のゼロ半だったらエンストでもしそうな坂道。
上りきった先に八番の山門があった。
お寺の入口で僕達は入って良いものか迷っていた。
《当山は霊場につき、物見遊山の者、酒気帯びの者境内に入ることを禁ず》
そう書かれていたからだった。
「大丈夫よ。私達は巡礼者なんだから」
優香はそう言うと僕の手を取り山門を潜り抜けようとした。
「だめだよ、優香。きっとこう言うのが物見遊山ってことかも知れないよ」
僕の言葉をまともに受け取った優香は慌ててその手を離した。
山門に一礼して一歩足を踏み入れた途端に僕は固まった。
寺の象徴であるコミネモミジが境内一杯にその幹を伸ばしていたからだった。
「凄ーい!!」
優香の声が境内に響き渡った。
石の階段を降りると、コミネモミジが覆い被さるように六地蔵が立っていた。
その先に緑色をしたなで仏。
どこもかしこも、ツルツルだった。
所作を繰り返してから、本堂の前に立った。
「おん、まか、きゃろにきゃ、そわか」
このご真言だけで、十一面聖観音様が祀られていると解る。
それだけ僕は成長したのかも知れない。
その脇にある木戸の先に武甲山があった。
思わず足を伸ばそうとして驚いた。
お釈迦様の涅槃像があったからだ。
「初めて見た」
優香が呟いた。
でも優香はすぐ境内に戻って行った。
やはりコミネモミジが気になるようだ。
優香は暫く其処から動かなかった。
その両手を大きく広げて、まるでコミネモミジの精霊を取り込もうとするみたいに深呼吸した。
九番明智寺へは、国道を通る道へ行くことにした。
さっきの案内板が気になっていたからだった。
結局さっき来た道を逆戻りした。
鉄道と国道の橋架下を潜り抜け権現橋を渡る。
次の丁字路を右に折れると、其処が国道299だった。
僕達はその道を進んだ。
横瀬橋信号の次にある信号がお目当ての九番入口だった。
其処はセメント工場へと続く道だった。
「おん、はんどめい、しんだまに、じんばら、そわか」
如意輪観音のご真言だ。
お堂は八角型をしていた。
その中はこじんまりとしていた。
一つ百円のおみくじは、良く見ると《みくじ》と書かれていた。
(みくじとおみくじ、どっちが正しいのかな?)
そんなくだらないことを考えていた。