うーん、どうしよう。 迷うなぁ。 「なつ!」 ーードキッ 考えながら唸っていたあたしの耳に、聞き慣れた声が届いて鼓動が跳ねた。 透き通るほど爽やかなその声を聞くだけで、胸の奥がキューッと締めつけられる。 ズキズキヒリヒリして苦しいのに、嬉しいなんて……。 そんな風に思ってしまう。 その意味を考えないようにして、ムリに自分に言い聞かせる。 ちがう。 この胸の高鳴りはそんなんじゃない。 もう……好きなんかじゃないもん。 絶対にちがうんだから。