「ケーキを食ったぐらいで幸せになれるって……単純過ぎだろ」



ククッと声を押し殺して爽が笑った。


頬が緩んで口角が上がり、一気にガラリと雰囲気が変わる。



ドキッ



めったに見せないレアなその笑顔に、鼓動がありえないくらいに大きく跳ねた。



怒ったり笑ったり。


コロコロ変わる爽の表情から目が離せない。



「た、単純だよ、どうせ」



単細胞の大バカ野郎だよ、どうせ。



「でも、ホントに嫌なことを忘れられるから」



やっぱり甘いものはヤメラレナイんだよね。