「で、でも。ケーキは?」



3人で久しぶりに『タニリキ』のケーキを食べて帰ろうって言ってたのに。



「ケーキよりもぉ、桐谷君を優先しなきゃ」



クスッと笑う真央は絶対に楽しんでいる。



「いやいや、ケーキの方が大事だからね?桐谷に断って来る」



そう言って、カバンも持たずに教室を飛び出した。



遥か彼方に行ってしまっていると思った爽は、教室から出たすぐのところで友達につかまって話し込んでいた。



派手な集団の中でも、爽だけなんでこんなに目立つかな。


ミルクティー色の髪が、窓から射し込む光りでキラキラ光っている。



友達といる時はもうちょっと愛想が良かったりするのかと思ったけど、どうやらそうじゃないみたい。



友達が一方的に話しているのを、興味がなさそうに聞いている。



いや、聞いていないのかもしれないけど。



そんな爽の側まで行くと、ひときわ鋭くなった爽の瞳と目が合った。