「わかった。“桐谷君”って呼ぶよ」



名字を呼び捨てにされるのは嫌だったワケね。



「あ!?なんでそうなるんだよ」



「え?いや、だって桐谷が“そう”って」



言うからでしょ?



「だから“爽”だっつってんだろ」



えっ!?


そ、そうって……!



あー。


なるほど。


“そう”って、そっちの“爽”だったワケね。



良く知りもしない人のことを、名前で呼ぶのは気が引ける。



だけど、断ったらどんな目に遭うかわかんないし。