そう、そんなことはありえない。


だって


しんちゃんには、美雨っていう可愛いカノジョがいるから。



「けど、お前のことになると必死だったし」



「あ、あれは!幼なじみだからだよ。それに、しんちゃんにはカノジョがいるもん」



ズキンと胸が痛んで、自分で言った言葉にショックを受ける。



「っていうか!“お前”って呼ばないでよ。久利須 小夏っていう名前があるんだから」



「じゃあお前も桐谷って呼ぶのはやめろよ」



変わらずに鋭い瞳をあたしに向ける桐谷。



「じゃあ、なんて呼べばいいワケ?」



“桐谷君”とでも言ってほしいの?



「そう」



「えっ!?」



そう……!?



き、桐谷君って……呼んでほしいの?