今なら、何があっても乗り越えられそうな気がするんだ。



ダッシュで学校まで行くと、ホントにギリギリだったせいか校門には生徒が1人も見当たらなかった。



「やばっ、後1分でチャイム鳴るじゃん!」



急いで上靴に履き替えて、階段を猛スピードで駆け上がる。



廊下にはちらほら生徒がいたけど、みんな寝坊したのか急ぎ足で教室へ向かっていた。



「ええっ!?こなっちゃん!?」



隣のクラスの前を通った時、開いていた窓から驚いた井瀬の声が聞こえた。



「井瀬、おはよう!」



笑顔でそう言って窓の方に近付く。



目を真ん丸くしながらビックリしているのを見て、思わず吹き出してしまった。



「うっわ、イメチェンしたんだ?めちゃくちゃ可愛いんだけど」



「はいはい、またそんな調子良いことばっかり言って!そういうのは、ホントに好きになったコだけに言った方がいいよ。じゃあね」



そう言って立ち去ろうとした時、視界の端に野崎さんの姿が映った。