色々あった修学旅行も終わって、後は夏休みを待つだけとなっていたある日の昼下がり。



暑くて暑くてなんにもやる気が起きない。



「こなっちゃん」



ぐったり机にうなだれていると、頭上からあたしを呼ぶ声がした。



……うわっ。


井瀬だし。


声を聞いただけで、ヘラヘラ笑っている顔が目に浮かんで嫌になる。



「こ、小夏は暑さに弱くて参ってますぅ」



「はは、暑さに参ってるんだ?」



そばにいた真央の緊張した声が聞こえて、寝たふりを決め込んだ。



いつもなら適当にあしらうところだけど、真央の気持ちを知ってからは応援したいって気が強くなった。