艶のあるその声。


耳にかかる吐息。



どうして


……そんなに悲しそうな声を出すの?



胸が締め付けられて痛い。



だけど、すぐそばにいる爽にドキドキが止まらない。



……ナニ、これ。



「ご、ごめん」



お願いだから、そんなに悲しそうな顔をしないで。



「なに謝ってんだよ?」



「あたしが、何かしちゃったんなら……悪かったなって……爽、怒ってるでしょ?」



壁と爽に挟まれたあたしは、長い前髪の隙間から覗くその瞳を見て胸を痛めていた。