「ホーント、男好きだよね〜!」 早く通り過ぎたくて足を速めた時、そんな声が聞こえた。 他にも雑音はたくさん聞こえるのに、その声だけはやけに耳に付いた。 心臓がわし掴みされたみたいにギュッと痛む。 隣にいる爽は大きなあくびをしていて、気付いていなさそうだったからホッとした。 クスクスクスクス 嘲笑う声に耳を貸さないように、前を向いて平然としていた。 ほんの数秒のことだったのに、とてつもなく長いことのように思えて教室に入った途端ドッと疲れが押し寄せた。