蜜月クライシス!【BL】

 
 ただ単に秀才2人がタッグを組んだだけ、とは思えなし、そんなことをする理由も思い付かない。

 一体、咲都と春親に何が起きたのか。

 突然突き付けられた現実に、晶も彰那も言葉が出てこない。

 扉に向かって静かに近付く足音に気付いた2人は、慌ててそこから離れた。

 程なくして春親と咲都は何事もなかった様に部屋から出てきたが、晶と彰那は、2人同時に隣り合ってソファに座る、と言う何とも不自然な状態で強張った笑みを貼り付けるのが精一杯。


「2人とも帰ってきてたんだね」


 咲都はいつもと変わらない笑みを浮かべている。

 その笑顔に晶がくにゃりと顔を緩ませると、間髪入れず彰那が彼の頭を小突いた。


「何するんだ高槻!」

「お前のバカさ加減に呆れてんだよ」

「ふん。何とでも言えばいいさ。俺は目の前の幸せに飛び付かないなんて事はしないんだ」


 訳の分からない持論を捲し立て、再び晶の目は咲都を追い始める。

 何せ三時間程咲都と離れていたのだ。

 たかが三時間と言えど、晶には耐え難い三時間。

 不信感を憶えつつも、そんなものは咲都の笑顔の前では自然と薄れていった。