「クサリユビを…もう一度、五本のクサリユビを全て、集めるのよ…」

女は自らの透き通るような白い手を眺めながらそう呟いた。
夕暮れに染まる海を眺めながら長いプラチナブロンドのまつ毛を伏せる。

もう少しで女の旧友は夜を引き連れ会いにくる。女は静かにその時を待つ。

ぽってりとした桜色の美しい唇はまた開き言葉を漏らす。

「カエルス……」

旧友の名は、海に吸い込まれてゆく太陽のように静かにさざ波の音に溶けてゆくのだった。