『土方大明神』



―――ざわざわざわざわざわざわ…。


投げ出された日本刀に無気味な黒い影がまとわりついてきてしだいにそれは人の形をつくった。


「大…明神様ーー‼」

そのおぞましい光景を蔵の屋根の下から近藤 珠樹が声をあげるその背後に人の気配を感じた。




「………た、た、た、助けて‼」




顔をおおうように声を絞り出しゆらり~とたちあがったのは先程倒れた二階堂 陽菜自身の意識の声に聴こえ陽菜の身体を支えた時微かな声が絶え絶えに聴こえた。


「―――お願い…。私の身代わりになって…。」