『土方大明神』





((――近藤…珠希??))


右手でしっかりと浅葱誠の腕の裾をにぎりしめた近藤珠希は…誠が先程みた黒い煤みたいな影を目でおいながら額に汗を滲ませた。


((もしかして……あの黒い煤みたいなのが見えているわけじゃあ………。))

ガクガクと俺の裾を握る手が震えているのをどうするべきかと悩みつつ視線の先を這うようにやがて神聖な道場を這う……得体の知れないそのモノは床を嗅ぎながらやがて…ビクリと震えこちらを見つめた。