しかし彼女はいとも簡単に誠の身体をわずか右手一つで支えながら参考書を見ていた。
すごい力を入れてるようにも思えない…。
ただ優しく誠の腹部に添えられただけである…。
ただ誠にとっては初めての女子との至近距離での触れ合いだっただけに妙に意識してしまった…。
ただその時までの感じの良さとは違い電車を降りた珠希は彼の非力さを間近でみてしまったのもあるのかやたら武道系のパンフとかを持ってきたりして勧誘していたのだ。
それで……今のようにカーテンに隠れたり建物に隠れたりとところ構わず隠れるようになったのだが…友人の言葉にふと気になって再び覗きこんだ時にはもうそこにはいなかった。

