残された珠希は自分首もとを恐る恐る撫でると先程まで黒い美しく長い髪は首もとからぷつりと切断されただ耳もとから残された長い黒髪が垂れ下がっていた。


「髪は女の……命…?」


先程の男が言い残した言葉を思いだす。


荒々しい尖った口調だったが言葉には重みがあった。



破られた屋根の向こう側に遠くから奇声とうめき声とともに闇夜へと絶え夜空を流れる星のごとく静寂が訪れた。


珠希は自分の切られた後ろ髪を抱きしめ今一度…闇に紛れた男との出会いを祈った。