「…また嘘?」



「なわけないだろ……あーもう辞めた!」



そう言って私から腕を離す。



あっけに取られている私をスルーして少し赤くなった手首を済まなさそうに見つめる。



本当は良い奴!?


疑いの眼差しで永山シュウを見ていると視線がぶつかってしまう。


慌てて目線を反らす。



「何?見とれた?」



「んな訳ッッ……」


肩に掛けていたバッグを目の前にかざす。



「そんな警戒すんなよ。こんな所で襲ったりしねぇから」



そう言ってパイプ椅子に腰掛ける。




「あっ色紙にサインしてくんね?」



永山シュウはカバンから色紙とサインペンを取り出した。



はっ?さっき嘘って…。



「……」


黙って色紙とサインペンを受け取る。



「俺が欲しいわけじゃないからな?妹だから…」



一瞬、ほんの一瞬だけ…影のある顔を見せる永山シュウに対して返す言葉が見つからなく、言う事を聞くしかなかった。




「…こんなんで良い?」


私は書いたサインを永山シュウに見せる。


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