「忘れてましたよ!早速行ってきます」


着替えを高速で終わらすと、小林さんが立ち上がる。


「付いて行きたいんだけど、上の人に挨拶しに行ってくるから下で待ってるわ!」



「そうですか!了解です」

大袈裟に敬礼のポーズをとって、二人で楽屋を出て別れた。




永山シュウの楽屋はどこだぁ??



ウロウロしながらドアの前の貼紙を一つずつ確認していく。



あっ!あった。
まだいるかなぁ?



ノックをして名前を言う。

「美優です!」


「はぁい!」

扉の向こうから永山シュウの声が聞こえ、ドアが開いた。



「ゴメンね、わざわざ。入って?色紙今渡すから」


さっきと変わらない屈託の無い笑顔を見せられ、私は完全に無防備になってしまっていたらしい。


シュウは私が部屋に入ったのを確認し、ドアを閉めてからガチァリと鍵を掛けたのを私は気づかなかった。



「すみません、遅くなっちゃって…」


申し訳無く思い、謝りながら振り向く。



「俺を待たすとは、良い度胸してんじゃねぇか……」



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