美帆side



やっぱり、ずっと何か隠してて、
すっごくもやもやする。

いつきと何話してたかなんて、そんくらい教えてくれればいいのに!




ゆうがすることははなんでも知りたくて
なんでも知っていたくて、
自分がどんどんわがままになってる。




『ねー、どこ行く?お腹空いたね。』



無邪気に笑うゆうを無視する。





『..........。』



『ねぇー、聞いてる?美帆さーん。』






私がけっこう怒ってるのに気付いてないの!?
どんどん怒りがこみ上げてくる。



そんなゆうの姿に、
やっぱり意地悪したくなって、



さっきの仕返し。と思ってゆうの前を早あるきで抜き去る。








『ちょっっ、美帆っ!』



ぎゅっと私の腕を掴んでくる。



思っていたよりも細い腕なのに、掴まれたところは意外と痛くて、





『痛っっ』

と声を上げてしまう。






『あっごめん!どこが痛かった?』



必死で謝るゆうを見て、心がチクリと痛む。




『腕、掴まれたとこ。』





『あ、、本当ごめん!』



ぱっと、ゆうに離された腕は行き場を無くしてぶらぶらしている。



掴まれてたところは全然何もなっていなくてなんだかすごく申し訳ない気持ちになる。





『ううん。いいよ。』





『ごめん。』
と言ってゆうは私の手を今度はとても柔らかく、あたたかく包む。




ゆうはまた無邪気に笑って、
『さっきからなに怒ってるの?
そんなにお腹空いてる?』




え?なに言ってんの?本当に気付いてないの??え??どうゆうこと?


全然状況が掴めない。
繋がれた手から抜け出す。



『ねぇ、本当になんにも分かってないの!?』




思わず周りに響くくらい大きな声を出してしまう。







ゆうはぽかんとしていて、
『なに?どうゆうこと?』
と聞いてくる。





『分かんない?さっきからいつきと
こそこそこそこそしてさ、私じゃなくて、いつきが好きなの?』



周りの目も聞きせず出るその声に驚く。
初めてゆうにこんなこと言ってる。






わたしのことばを聞いたゆうもすごく驚いてて。




『え。なにいってんの?いつき??』





『さっき、私一人ベンチに置いてこそこそしてたじゃんか!』






『あー、』
なぜかゆうは顔を赤くする。










これにもまたムカついて、全然分かんない。ゆうの気持ち。好きなのって私だけ??




『ああってなに?もういいよ。』







私は今にも溢れそうな涙をこらえてその場を離れようとした。