17歳の遺書

目を開けると目の前に広がるゆうの顔。



その綺麗な唇にそっとそっと静かにキスを落とす。


カーテンを開けると、いつもと変わらない輝く太陽。


『...まぶし、』
と目を開けるゆう。


『おはよう。ごめん、起こしちゃった?』

『おはよ。ん?大丈夫。』



時計を見ると、もう9時半近くになっていた。


『寝過ぎたね。』


『そだね。ごめん、学校、』
と、わざとらしく、しょんぼりするゆう。

『そんなん、いーよ。』
と、近くにあるイスに腰掛ける。



『美帆っっ!』

いきなり大きな声をだすゆうにびっくりする。

『なに??どうしたの?』


『勉強教えてよ。久しぶりに。』

そんな普通のことでいーの?
だって、明日が手術だよ。
今日で最後の日になるのかもしれないのに。

こんなこと、考えたくないけど、
後悔はしたくない。
あの時、聞いておけばって、そんなこと思いたくない。

『こんな普通のことでいいの?』


『え、俺にとってはこれ、結構幸せなんすけど、』


ははっと笑うゆう。


『そっか。ならやろっか。』


と教科書を取り出して机の上に広げる。


きっと、今までで一番丁寧に教えた。
途中、何度もなんども涙が溢れた。


今日だけは、泣いたらダメだって、
自分に言い聞かせていたけれど、どうしてもダメだった。


こんなに綺麗に笑うゆうが、私のことを本当に愛してくれるゆうが、明日がいなくなってしまうなんて、考えたくもなかった。



誰でもいいです。誰でもいいので、ゆうを助けて。助けて。