私は申し訳ない気持ちになり、俯きながら針を操った。
「別に、いい。人はいつか死ぬものだから。俺の母親は、それが少し早かっただけ」
すると輝助様がそう答えた。
「けど、やはり、悲しいものでしょう?」
私がそう言うと、輝助様はこっちを驚いたように見た。
「だって、輝助様の目が、お母様を求めてる。どこか遠いところを見つめて、お母様の姿を探してる」
私がそう言うと、輝助様は悲しく微笑んだ。
「俺は、母親が死んでから、一度も泣いてないんだ」
そしてふいに、語り始めた。
「親父が、戊辰戦争で帰って来なくて、それでも母親は待ち続けて、結局親父は帰って来なくて母親は病で死んじまった。2ヶ月前の事だ」



