「はいはい。あぁ、緑さん。どうもね」 出てきた老人は栗城さん。 「着物の繕いが終わったので届けに来ました。お代は前払いだったので結構です」 「いつもありがとね。若いのに偉いわ~。今年で十六だっけ?」 「はい」 「じゃあ、そろそろお嫁にいってもいい頃なんじゃないかい?」 お、お嫁!? 「わわ、私はまだ、そういうのは……」 顔の前で思い切り手を振る。 「あたしの孫が男だったら緑さんにあげたのにね~」 栗城さんは顔に手を突き呟く。