それから数年後。 「では、お母様。行ってきます」 私は十六歳になった。 お母様は私に手を振る。 お母様は私が十歳の頃標準語を教えた。 そのお陰で京の言葉も標準語も話せる。 そして行き先はある老人のお宅。 私は縫い物が得意で、着物など、古くなった衣服の直しなどをしている。 少し遠くに住んでいる老人は私の家まで来るのが大変だから私が持って行ったりしている。 「ごめんくださ~い」 私は老人の家に着くと声をかけた。