「過去は過去、今は今」とよく言う人がいる。確かにそうだ。その言葉を象徴するかのような出来事を僕は迎えたのだ。

毎日このバスは混んでいる。みんな何を思い、何を考えているのだろう。大学を出て社会人となり早くも3年が経とうとしている。そして、早くも嫌になっている自分がいた。
「嫌です。」
「暇なんだろ?」
気づくと目の前でナンパされている女性といかにも悪そうな男がいた。あぁかわいそうに。朝から絡まれて。そして誰も見て見ぬフリをするのが今の世の中の現状である。「ちょっと見てないでなんか言ってよ」
女性はあきらかに僕を見て言っている。
「彼氏のくせにシカトはないでしょ!?」
おいおい。彼氏って。当たり前に男は僕に
「彼氏?」
僕はとっさに
「はい」
男よりも先に
「なんでシカトしてたのよ!信じらんない!」
おい?これ以上芝居しろってのかよ。男もあっけにとられてる。
「ごめん、ごめん。眠くて寝ぼけてた。あっすいません。そういう事なんで諦めてください。」
「あ、あぁ」
彼女の迫力にあきれたのか。
「ありがとうございました。」
「朝から勘弁してくれよ。おれが悪いやつだったらどうしたんだよ。」
「あなたの事知っていますから」
満面の笑顔だ。えっ誰..?