血にまみれ、無数の傷を全身に残した紅。

あの谷底に転落したのだ。

無傷でいる筈がない。

それでも。

「全くお前という奴は…俺がいなければ一人ではまともに戦えぬらしい」

彼は何食わぬ顔で振り向き、いつもの皮肉を口にした。

「危なっかしくて見ていられぬ…やはりお前には俺が必要なようだな」

そう言って。








紅はいつもの笑みを浮かべた。