私の一振りで、四人五人の帝国兵が吹き飛ばされる。

「まだまだぁっ!」

私は両手で剣を握り、自らの身を中心に円を描くように薙ぎ払う!!

斬り散らされる帝国兵。

私はまさに、荒れ狂う両軍の戦いの渦の中にあって、一際強烈に渦を巻く台風の中心のようであった。

最も戦闘の激しい場所に踏み込んでいながら、私の身に傷を付けられる者は唯の一人もいない。

今の私は、戦場を駆ける戦乙女でありながら、敵陣を吹き抜ける魔風でもあった。

風を纏う戦の女神。

二つの力を手にしたかのような私の戦いぶりに、東の騎士達は更に士気を高め、帝国兵達は恐れおののく。

「何をやっておる!!」

焦れたように皇帝が叫んだ。

「弓だ!!弓で射れ!!離れた位置から串刺しにしてしまえ!!」

その指示で、帝国軍の弓兵達が構える。

しかし!!

「ぎゃあっ!!」

「がはあっ!!」

その攻撃を食い止めたのは、我が女神国の女神兵達であった。

「我が国の象徴には指一本触れさせぬ!!」

「そうだ!東方同盟は戦乙女だけではない事を思い知らせてやる!!」

口々に叫ぶ女神兵達。

…見ているか、紅。

貴方の鍛え上げた女神兵達は、あのように逞しく、強き姿を見せてくれているぞ…!!