『死んだ』

改めてその事実を突きつけられ、私の足は震えた。

「違う!紅は死んではおらぬ!」

「おかしな事を言う女だ。貴様とて戦場には幾度となく立っているのだろう?ならばわかろう」

私の狼狽ぶりを楽しむかのように、皇帝は薄笑みを浮かべる。

「腹を裂いて、袈裟懸けに斬った。あの出血量だ。挙句にこの谷に真っ逆さまだ。どれ程しぶとい男とて、生きてはいまい。最早屍すら上がらぬわ」

「……!!」

震える。

ガタガタと体が震える。

『今生の別れ』

そう宣告され、私は激しく混乱していた。

今にも膝から崩れ落ちそうになる。

…私を精神的に嬲る事に興味をなくしたのか。

皇帝はフン、と鼻で笑った後。

「やれ」

指を鳴らした。

同時に鈍色の甲冑の群れが動き出す!!

帝国軍二百万の軍勢。

その精強なる兵士達が、ついに東の地へと侵攻を開始した!!

「乙女!!」

同盟国の王達が私に指示を仰ぐ。

だが…私は今、何も考えられない。

紅の死を何とか受け止めようとして、それでも否定しようとする自分。

その葛藤に、鬩ぎ合いに、心が悲鳴を上げる。

「ええいっ!」

王の一人が私に代わって指示を出した。

「吊り橋だ!吊り橋を落とせ!!」