沢山の人たちの悲鳴の中、私の耳に一際高い叫び声が入ってきた。 「パパ、熱いよ!!たすけてぇ!!」 必死に叫ぶその幼い男の子は、炎に囲まれた建物の四階の窓から必死に手を振っている。 しかし、家を囲む炎はあまりにも強大だった。 少年に下から声をかけ続けている父親らしき男性は拳を強く握りしめ、何もしてやれない自分の不甲斐なさを呪っているように見えた。