君との距離は1メートル 【完】






「なんで?!どうして?!」



未だに信じられなくて光を凝視する。









このベランダの距離…。普通仕切りがあるはずなのに、そんなものは無くて…。









「実は、俺の引越し先はここ。でも、仕組んだわけじゃないよ?お前が引越し先教えてくれた時には俺はもうここって決まってたから」




し、信じられない…。



そんな奇跡があるのか…。






「って、なんで教えてくれないのよ!」





私はいつもの調子を取り戻して光の方のベランダに一歩詰め寄る。





「だって、教えない方が驚くだろ?なんか運命っぽくていいじゃん」




へへ、とイタズラっぽく笑うと、




光はベランダに足をかけた。




「え、まさか…」






ほんの2週間前の事から、2年前のことまで、全ての記憶が蘇ってくる。







ベランダは、私達をつなぐ大切な場所。






たった1メートルの距離。






今、光と私の部屋の距離も…あの家の距離と程近い。







タンっと勢いよくベランダの縁を蹴る音がして光の体がこっちに向かって落ちてくる。








「よっと」






軽々と飛び移った光は、立ち上がって私の目の前に立った。




私はただ呆然と光の顔を見上げる。




「本当はちゃんと仕切りがあったけど、内緒ではずした」




光は肩をすくめると少しだけバツの悪そうな顔をした。





「これからも、宜しく。多分、玄関からじゃなくてベランダからお邪魔するけど」




光はそう言うと、一歩近づいてギュッと抱きしめてきた。







「う、うぅ〜〜っ、良かったよ〜〜!」







「泣くなよー」





勝手に出てきた涙を止めるように、光に顔を押し付ける。





勝手に心配して、寂しくなってたけど、やっぱり私達は大丈夫だ。







こんな奇跡、そうそう起こらないもん。