「はぁ、はぁ…待って、奏子ちゃん!!」
追いかけてきた須藤君にガシッと腕を掴まれて、それからグンッと引き寄せられた。
「や、離して!ヤダ!!」
涙でもうぐちゃぐちゃの顔の私は須藤君に顔を向けない様にしながら抵抗する。
「いいから!こっち向いて!」
声を荒くした須藤君は思いっきり私の体を反転させて向き合わせた。
バチッと一瞬目があって素早く下を向く。
やだ、やだ。泣いてるなんて変じゃん。
杏奈への気持ちがばれちゃう。引かれる。気持ち悪がられる。
「…………」
下を向いたまま私は無言を貫く。
怖い。何を言われるんだろ…。
「好きなの?光が」
「…え?」
須藤君に両腕を掴まれたまま真剣な声で聞かれた。
でも、杏奈ではなくて光君。
き、気が付かれてない?
私ははっと気付く。
光君に恋してることにしとけば…ばれないじゃん。
なぜかそんな嘘をつくことが苦しくてたまらない。
けど、今はそんな事言ってらんない。私を守るにはこれしかないの。
「そうなの。ごめんね、やっぱりショック「嘘つかないで」
ドキッとして体が一瞬震えた。
苦笑しながら話してたら突然須藤君の強い口調で遮られた。
「う、嘘ってどういう事?もう何も嘘なんてないよ」
あ、やばい。声震えてる。
なんだか足まで震えてきた気がする。
「奏子ちゃん、俺には話して良いんじゃない?俺分かってるから」
須藤君が今度はいたわるような口調で話しかけてくる。
ぱっと離された両腕。
私はつい顔を上げてしまった。泣いてることも忘れて。
須藤君はふっと優しい微笑みを浮かべていた。
「杏奈ちゃんが好きなんでしょ?」

