12月20日
今日は終業式。
「いいー?皆ハメ外しすぎないようにね?では次は来年だからね。では号令!」
教壇の上で糸先生が喋ってる。
今日は終業式。やっと終わる学校。
これからフルート教室だ〜。
「気を付け、礼」
号令係の号令でクラスは解散。
みんなそれぞれ良いお年を〜とか言ってる。
「杏奈」
鞄に教科書を詰めてると目の前に誰かが立っているのが分かった。
声を聞いてそれが誰なのかも分かった。
「誠、どうしたの?」
また背が伸びたなーと誠を見上げる角度が大きくなった事で実感する。
「あの、25日なんだけど…」
誠がなんだか言いづらそうにそう話しかけてきた。
「ああ!クリスマスね!どこ行こうか〜?」
「それなんだけどっ「え、なに?!お前らそういう仲なの?!」
誠が何かを言いかけた時に横からクラスの男の子が割り込んできた。
確か、誠と同じサッカー部の野田君。
クラスでも目立つムードメーカー的存在。
「え?付き合ってるの?おたくら」
野田君は私と誠を交互に見比べてニヤニヤしてる。
「ちげーよ!康太どっかいけよ!」
誠は赤くなって野田君を追い払った。
あ、野田君って康太って名前なの…。
ここに来てもう4ヶ月くらい経つけど初めて知ったな。
「ごめん。康太の言ったこと気にしないで」
誠は赤くなった顔をパタパタと手であおいで冷ましてた。
「ふふ、いいよ別に。で、何を言いかけたの?」