「トイレ行ってくるね」
隣にいた愛巳がゆっくり立ち上がり言った。
「あ、場所分かる?付いて行こうー」
俺も急いで立ち上がったが、顔の前に手のひらを突きつけられて押し止まった。
「一人でいけます。光はここにいて」
「あ、俺もトイレ行くから一緒に行こうよ」
杏奈と話していた誠は立ち上がり愛巳と一緒に校舎の中に入っていった。
「私と須藤君はなんか買ってくるからここで待ってて!」
「え?」
「行くよ!」
細川が突然誠の腕を引っ張りどこかの食販へ向かう。
「ちょ、俺必要?!」
「バカッ!!空気ぐらい読みなさいよ」
2人でまるで夫婦漫才しながらどこかへ消えていく。
なんだ、誠、いい感じじゃん?
誠の恋が報われるのもそう遠くはないのかもしれないな。
「あの2人、仲いいんだね」
クスクスと笑う声に振り返ると杏奈があの2人を見て目を細めて笑っていた。
「な、いい感じだよね」
……あれ?
今って2人きり…?
「みんな行っちゃって、仕方ないね〜」
杏奈は食べ終わったカップを近くのゴミ箱に捨てると壁によりかかった。
やっと、ちゃんと話せるんだ。
ドキドキと高鳴る胸を落ち着かせる。
「なんか、やっと話せたって感じだよな」
「ね!今日は全然話せてなかったね!まぁ、どうせ夜に話せるけどね」
「…でも、もっと話したいよ」
もっと話したい。それはいつも思う事。
夜会っても、お互いの部屋に戻るときにまだ話していたいって思ってしまう。
「私もだよ。光君ともっと話したいな」
杏奈はえへへ、と下を向いて笑った。
「私ったら恥ずかしいなっ」
うわっ…!
顔を上げてこっちを向いた杏奈の顔はかすかに赤くなっていた。
「お、俺だって恥ずかしいしっ」
予想外の反応に戸惑って、俺まで照れて必死に顔を隠す。
「光君隠さないでよー」

