君との距離は1メートル 【完】





「…あの、光君」




黙々と作業をしている最中、一之瀬さんは沈黙を破った。





「うん?なに?」










一之瀬さんも俺も手を止めずに会話する。



「光君って好きな人とかいないの?例えば、吉野さんとか」





「えっ?!好きじゃないよ?!」




想像もしてなかった質問で動揺して皿をパラパラと落としてしまった。





「あああ、ごめんね!変な質問して」





「俺こそごめん!」




一之瀬さんは俺の落とした皿を丁寧に払いながら拾ってくれた。




「そうなんだ…。じゃあ…好きな人は?」



『好きな人』






その言葉を聞くたびに頭の中に杏奈の顔が浮かぶ。



「好きな人は…いるよ」




なんか…自分で言ってて恥ずかしい!!




顔が熱くなるのが分かってひょっとしたら赤くなってるんじゃないかと心配になる。




もしかしたらなってるかも、と思って顔を一之瀬さんから背ける。





「……そう。頑張ってね」