「俺、イケメンだね、とか人気者でしょ、なんてストレートに言ってくる人はじめてみたよ」
やっぱり。
「でしょうね!あたしみたいな女の子中々いないよ」
すくっと立ち上がって目を丸くして見上げる池田くんの方を向く。
「さて、私明日朝早いしそろそろ寝よ?」
「あー…そうだな!忘れてた」
よっこいしょ、と言いながら立つ池田くんにふふふと笑いながら「おじいちゃんか」と突っ込む。
向こうのベランダに再び飛び移った池田くんは振り返って、「ちげーし」と笑いながら言った。
「笹野さん、いつから学校?てか明日トラック何時?」
「あ〜、まって」
私は慌ててポケットからスマホを取り出して予定を確認する。
「えっとね、明日のトラッ「あ!番号教えて?あとLINEやってる?」
トラックは8時だよ。と言いかけた時池田くんもスマホを出してきた。
なんかメッチャ食い気味で遮られた…。
番号とLINEを交換して、「明日は8時にトラックくるよ」
と、ちゃんと言えた。
「あとね、学校は月曜からもうある」
「え!?明後日?早くね?」
ビックリした顔の池田くんを今日何回見ただろう。
明日は日曜日できりがいいから月曜から通うことになった。
本当に忙しい。会社の整理が終わってなくて出発を遅らせたお父さんをチョットだけ恨んだのは秘密だ。
「まぁね、明日頑張って片付けなきゃだ」
ニコッと微笑んでまたね、と言って私は部屋に入った。
「ああ!まってまって!」
窓を閉めようとしたとき向こうからまた引き止める声がした。
「笹野さんの部屋ってそこ?」
首をかしげる池田くんに向かって笑顔で
「秘密」
と言って私は窓を閉めて部屋を出た。

