杏奈が持ってきたのは俺が前に貸した黄色いチューリップという本だった。
やっとか!!!
「おせーよ!やっと読み終わったんか」
ピシャリと突っ込むとバツの悪そうな顔をして
「だって、忘れてたんだもん」
と口を尖らせて言った。
「でもね!凄いいいお話だったね!
お姫様がかわいそうだったけど…」
シュン、とせつなげに本を見つめる杏奈。
やっぱり女の子から見た感想もそうだよな。
「何ていうか…お姫様の姿を自分に重ねちゃうっていうか…」
「え?」
「いや、境遇に共感するっていうか…ね?」
ね?と苦笑気味にこっちを見て笑う杏奈を凝視する。
ね?じゃなくて、待ってよ待てよ…。
その感想は女の子目線で誰でもそう思うのか?
それとも…
杏奈が誰かに恋をしているから主人公と境遇が同じって、重ねちゃうって言うこと…?
普通そういう意味でとらえるよな。
一気に血の気が引いてく思いだ。
「え、杏奈好きな人いんの?」
ちょっとの望みをかけて聞く。
頼む!!いないって言ってくれ!!

