「いってらっしゃいって、あんた料理とかできるの?」
母さんはまるで俺ができないと信じているようだ。
だったらなんで旅行に行くんだよ!
「俺だって少しくらいできるし、最悪出前とかするから!」
俺は味噌汁をズズーっと飲んで
「ごちそうさま!」
と話しを終わらせた。
「出来なかったら杏奈ちゃんに頼んで作って貰えばぁ〜?」
リビングを出て行こうとするところ後ろからお母さんが甘ったるい声でそう言った。
チラッと振り替えると、こっちを見てニタァと笑う母さん。
「別に頼まない!」
プイッと顔を背けてリビングのドアを閉めた。
早足で階段を登る。
鼓動が合わせて速くなる。
母さん…もしかして。
俺の気持ちがバレてる?!
なんで?!!
母さんが知るはずない。きっとからかっただけだ。
俺は熱くなった頰をまた手であおいで冷ます。
最近…あおいでばっかだ…。
それも全部、杏奈の事で熱くなる。
恋って、こんなに気持ちが高ぶるものなんだな…。
ふーっと息を吐きだして時計を見上げる。
まだ8時。
何してあと1時間時間を潰そうか。

