「ね!ここのパンケーキ美味しかったんだ!たべよー!」
私と光君はさっきから食べ物ばっかり巡ってる。
ほとんど私がつき合わしちゃってるけどね…。
「本当たべてばっかりだよな。杏奈は」
「そんなことないよ!」
否定しつつもやっぱり恥ずかしいな…。
でもつい目に止まってしまう屋台に目がくらむんだよ…。
「分かった!じゃあ買ってくるから待ってて」
物欲しそうな目で見ていたせいか光君が屋台の方へ駆けて行ってしまった。
しまった…。
気を遣わせちゃったかな?
でも今更大丈夫なんて言っても欲しいのバレバレだしな…。
大人しく屋台の側で待っていると
「ねぇ!あの男の子かっこいいよ!」
「あ、本当。私服ってことはここの学校じゃなさそうだよね」
近くにいた女の子2人が光君の並ぶ屋台の方を見ている。
「ね!背も高いし髪の毛とか自然な茶色って感じで爽やかだよね〜!」
え、それってもしかして…
「ね!顔も小ちゃいし目も大っきいし。やば!羨ましいんだけど!」
あの子達の話してるイケメンな人って…
「あ!イケメンが歩いてこっちくる!」
女の子達の目線が追うのは紛れもなく
2つパンケーキを持った光君だった。
いや…なんと滑稽な…。
「パンケーキさー、ブルーベリーとチョコのソースがあって迷ったからどっちも買ったんだけど、
どっちがいい?」
光君が私の正面に来て笑ってそういう。
女の子達の笑い声は聞こえなくなった。
「…っあ、あの、ブルーベリーがいいな!」
慌ててブルーベリーの方を受け取って女の子達の近くにある花壇に腰掛ける。
「いただきまーす!」
光君は目を輝かせてパンケーキを食べてる。
けど、私は左の方にいる女の子2人の視線が痛くて思うように食べれない。