「え、そしたら俺たちもいくよ」
焦ったように光君が愛巳を見てな?と聞いた。
しかし、愛巳はイマイチ納得のいかなさそうな顔をしている。
ほら、やっぱり2人でいたいんだ…。
「えー、私まだ光の家にいたいよー。外だって寒いし…」
「なんでだよ!カフェとかお前好きじゃん!」
光君も引かずに愛巳を説得している。ここは、私が何かいうべきかな…。
そう思って口を開いたとき
「杏奈と2人で行くからいいよ」
誠君がニッコリと笑いながら光君に向けて言った。
「あ、須藤もいく?」
誠君は思い出したように須藤君に聞いたが付け足された須藤君は拗ねていかねーと口を尖らせてしまった。
「だから、今日はここで解散!またな」
「あ、ああ。またな…」
半ば強引な解散だけど、これで愛巳は満足なはず…。
ちらっと愛巳の方を見ると
愛巳を見ようとしたはずが、光君と目が合ってしまった。
ドキッ
光君の表情に体が固まってしまった。
冷たい目でこっちを見る光君は、別人のようで
怖かった。
直ぐに目をそらして愛巳を見ると、
やっぱりどこかホッとした顔をしている。
ズン…
また重い何かが胸の奥に出てきた。
それより、
光君のあの冷たい目。明らかに私と目が合ってた。
私何かした?
それとも、気にしすぎただけ?
「それじゃ、お邪魔しましたー」
光君の家を出るとき、光君はお見送りに来てくれた。
その時は、少し寂しそうではあったけどあの冷たい表情はもう無かった。
「よし!そしたら大通りの方いこっか!」
須藤君とも分かれて、誠君が張り切った声で言った。
「うん!まずはカフェいく?」
気持ちを切り替えて。忘れればいい。
私は自分に言い聞かせながら、早くあの目を忘れようと明るく誠君に言う。

