「と、友達の家……に」
『へえ。あんた友達いたんだ?』


冷汗が頬を伝う。
ムカつく、悔しい。
それらに勝る感情が恐怖だった。
これほどまでに自分の母親に恐怖を抱く子供がいるのだろうか。


『昨日は菜々美が帰ってきてくれなくて、お母さん寂しかったなあ』


そんなこと微塵も思ってなんかいないくせに。
母のわざとらしい猫なで声が気持ち悪くてたまらない。




「菜々美」


小刻みに震えながらその場にしゃがみ込んで通話をしている私の背後で彼の声が聞こえた。
直後、背中にずっしりと重みを感じる。