「夏目君が欲しかったのは、全てを吐き出せる場所だよ」 自分を受け止めてくれる人。 自分を愛してくれる人。 私は続けた。 怯えた猫を宥めるように。 「私がその場所になるよ」 彼が驚いたように目を見開く。 彼が驚いてしまうほど、おかしなことを言ってしまったのだろうか。 「だから、夏目君も私を受け止めて」 互いに見つめ合う。 彼の瞳を捉え、逃がさない。 そして彼の目も私を逃がしはしなかった。 「私を愛して」 私の声だけがこの暗い部屋に響いた。