その時、彼が笑った。 私の手を握り、優しく微笑む。 「何これ。お前、すっごいあったかい」 手を思い切り引かれ、気付けば彼の腕の中。 彼は温かいと、その言葉を繰り返す。 幸せそうな笑顔で。 今までの出来事が全て一瞬の出来事のように感じた。 「だって私、生きてるから」 「人って、冷たい生き物だと思ってた」 「私、あなたほど冷たい生き物に出会ったことってないかも」 あなたは空っぽだ、寂しい人だと彼の背中に腕を回す。