「夏目君だ……」 偶然、彼を見つけた。 女に囲まれていない彼を見るのは初めてだ。 だからといって近付く気も況してや話し掛ける気もない。 あちらは私に気付いているのか、いないのか。 そんなことはどうだっていいが、気付いていたとしても彼だって私に話し掛けたりはしないのだろう。 当初の私達は互いに他人を貫いていた。 気にせずブランコを揺らしていると、ぽつりと頬に雫が当たった。 それは時期に体全体を濡らしていく。