高校一年生。
もう茶色く染まりかけている汚い桜の花弁を踏んで歩く。
春の終わりを感じた。


「菜々美、おはよ」


昇降口で靴を履き替えていると、友達の境玘茉奈(キョウキマナ)に鉢合わせた。
綺麗な長い黒髪を靡かせて彼女はニコリと微笑む。
スタイルもよく、美人で優しい彼女は男子からも女子からも絶大な人気を誇っていた。