「菜々美は何も気にしなくていいよ。後は俺が片付けておくから、ね」


片付けておく。
その言葉の意味がわかってしまう。
見事に彼は殺して見せるだろう。
誰にも気付かれないやり方で。
彼は殺しの方法を熟知している。


「ごめんね……夏目」


彼の指が頬に触れた。
私の頬についてしまった血を拭う。
優しくて冷たい指だと思う。