私が教室内へ足を踏み入れた途端に、室内は静まり返り、一つの笑声さえも聞こえなくなる。
皆、私という一点に視線を向けている。
その沢山の目に私に対する恨み、憎悪がこもっているように感じられた。


「今日も不景気なツラしてんな。ゲロ女」

静まり返った室内に一つの言葉が響いた。
それは私に向けられた言葉であり、ゲロ女とは私のもう一つの“名前”である。
この教室にいる全員が、私をその名前で呼ぶ。