みすみの花が開くとき

「雪姉さんは傷付いたのに!苦しんだのに!

お前が傷付かずに!苦しまずに!許された!

そんなの、認めない!」





閑の荒い呼吸の音が響く。

玉兎が出て来る気配は無い。





光如が口を開く。


「俺は、自分がした事を、その結果を忘れない」

「だから、何よ!」


閑の声は悲痛だった。


「紅葉!あなた、いいの?

こいつは!」


閑の唇がぱくぱくと動く。

言葉に出来ないのかもしれない。

次に口を開いたのは、紅葉だった。