みすみの花が開くとき

光如は落ち着いていた。


「久しぶり」


紅葉は舌打ちした。その目には殺気さえ宿っている様だった。


「顔も見たくもありませんでしたよ」


口を噤んでいる閑の表情も険しい。


「だろうね。近衛君、紅茶を一つ」


注文を受けては、下がるしかない。

三人が心配だったが、どうすることも出来ない。



「紅茶一つ、注文入りました」


玉兎に告げる。


「穏やかなお客さんじゃなさそうだね」

「矢追光如が」


玉兎は顔色一つ変えずに、紅茶を淹れ始めた。